Piri Reisは最高のskramzです

Piri Reisは最高のskramzです

マレーシアのPiri ReisのCDを再びリリースしました。前回は彼らの1stアルバムのCDリリースで、2023年でした。激情ハードコアがskramzと再定義され地下ブームとなっている2020年代、彼らの歴史はそのもっと以前から続いていて、そして一貫してこの音楽ジャンルを突き詰めているのがわかる内容になっている。一言でいえばなんだろう、愛なのかもしれないし執着なのかもしれない、エモバイオレンスの純度がめちゃくちゃ高い1stアルバムの完成度はすごいので是非聞いてほしい。そして、今回リリースしている"Antologi"はアルバムをリリースするまでのEPやスプリット、オムニバスへの参加曲など彼らのこれまでの歴史をコンパイルした内容になっています。

2011年、日本で大きな地震があって、その後様々なバンドがチャリティーライブをしたりしている中、ハイスタが復活してAIR JAM 2011を開催。その時、何故かライブを観に行くことが出来(たしか抽選が当たったんだと思う)、そしてそのライブが終わった直後にそのままタクシーで羽田へ直行、マレーシアへ飛んだ。何故マレーシアだったのかの理由は、おそらく3LAで関わりのあるバンドがいて、かつ旅レベル初心者の自分でも一人旅できる国っぽいというだけだったと思う。

いまPiri Reisでギターを弾いているArwithは当時もUtarid Tapesというカセットレーベルを運営していて 、2011年当時はいくつかのカセットをやりとりしたり、最近になってDog KnightsからLPリイシューされたKias FansuriのCDや、Suis La Luneの作品も3LAに入荷していました。当時はOrbit Cinta Benjaminなどもディストロでよく売れたな〜〜。現地で彼と待ち合わせしたときは、待ち合わせ時間にぜんぜんこなくて1時間後くらいに「いま起きたわ」って連絡きてすげーDOOMだったのを思い出します。でも登場した彼はkillieのTシャツを着ていて、あれは彼なりの日本への敬意だったんだと思う。

クアラルンプールのレコード屋やローカルの仲間を紹介してくれて、最後はOrbit Cinta Benjamin等のメンバーの家へ連れていってくれて一緒にレコードを聴いたりした。当時でもレアな欧州Screamoのレコードがたくさんあって、一生懸命集めてバンドメンバーで共有していたんだと思う。マレーシアでそれらを手にいれるのは実質無理な話で、ほとんどバンドやレーベルに直接コンタクトを取りながら集めたりしていたのかもしれない。とにかく彼らは本物のScreamoファンで、激情ハードコアが大好きな奴らだった!

画像
2011年9月の写真

そして、Arwithがまた新しく組んだバンドがPiri Reisで、周りの仲間たちも合流しているマレーシアのスーパーバンドだと思う。sto cosi cosiによって2016年に初の来日を果たしていて、そのときの記録はいろいろ残っている。Piri Reisとツアーしたsto cosi cosiもやっぱり激情ハードコア大好き人間なので、xontoやraikaなどでも今でも活動している。2025年、カナダのNFF出演からの帰国の経由で、大阪で一度限りの来日公演が実現しているが、こちらもライブを実現させたKüchenherd、poetry of torchもこのジャンルに精通していることは誰の目にも明らかだ。

このskramzというジャンル名がついてから、リスナー人口は急激に増えてはいるけれど、このジャンルでビッグバンドへ成り上がった人間はいない。商業的な成功なんて無縁(この先はわからないが)だからこそ、その情熱というか好き度でアウトプットのクオリティが違うっていう世界なのが、自分は結構気に入っている。レコ屋の売上的にはきついが、ここがビジネスライクになっていった時がこのジャンルの終わりの始まりかもしれないとすら思う。みんながそういう気持ち忘れそうになったら、俺はPiri Reisをまた聴き直してこの気持ちを取り戻したい。

ブログに戻る